第7話:手放す勇気

大人の 絵本

静かな川の流れが、ゆっくり時を運んでいる。
僕は河川敷に座り、手のひらで小さな石を触りながらずっと考えていた。

「 本当に、このままでいいのか……? 」

今まで当たり前だった事、ずっと続いてきた友人、習慣、環境など,,,

「なくなったら、僕はどうなるのか?」

水面を見つめながら、自分自身に問いかけた。

このままで居るのは楽だ
変わる必要なんてあるのか?
友人は悪い人じゃないし、習慣も僕の一部だ。

でも、そのどれもが僕を前に進めてくれない。

また無駄に時間を使ってしまった 」そう思うことが増えていた,,,,,

心の奥でわかっている でも、手放す勇気がない。

ポチャン——

持っていた石を投げた。水面に波紋ができる ,,, 僕が今恐れているのは「変化」だ。
数秒後、水はすぐに元の静けさを取り戻す。

変わることは怖い。
でも、手放すことで新しい何かが入ってくるのかもしれない。

僕はポケットの中のメモを取り出した。
そこには、やめたい習慣や距離を置きたいことが書かれている。

もう迷わない。

メモを破り小さくちぎって水面に投げ入れた。

「ありがとう」と、過去の自分にそうつぶやく。

流れる水が、手紙を遠くへ運んでいった。

風が吹きぬけ、少しだけ心が軽くなったような気がした。

手放すことは、終わりじゃない

僕は深い息を吸って、ゆっくりと立ち上がった。

タイトルとURLをコピーしました