第2話:小さな一歩

中途半端 絵本

今日は公園に行こう。少しでも気分を変えたら何か変わるかもしれない、外の空気はひんやりとしていて肌に心地よく、空気がおいしく感じる。

何だか、昨日よりも少し前に進める気がした  

公園に着くとベンチに座ってギターを取り出し、静かな朝の風景の中で久しぶりに弾いてみるが思ったように指が動かない、ぎこちない音ばかりが響く,,,

周りには散歩をする人やジョギングをする人たち、誰もこちらを見ていないのに僕はなんだか恥ずかしくなった。

やっぱり、やめようかな…

ギターをケースに戻し、ベンチにもたれかかり空を見上げると雲がゆっくりと流れていた。

あ 〜〜〜 くそ 中途半端だ …」 

ブッ ブッ ブー !!!

ポケットの中のスマホが震えた。
友人からのメッセージ。

『またやめちゃったの? でも今日はギターを持って公園に行ったんでしょ? それってすごいことじゃない?』

画面を見つめる,,,

昨日より今日の自分が、ほんの少しでも変わったこと
今まで気づかなかったけれど、それだけでも十分かもしれない。

もう少しだけ,,,  弾いてみよう 」そう思い再びギターケースを取り出す。

今度は、ゆっくりと、焦らずに。

気がつくと、空が夕焼け色に染まっていた。
僕はギターを膝に乗せたまま夕日を眺める。

まだ上手には弾けない。
でも、今朝よりも少しだけ音がスムーズに出せるようになった。

『 それでいい 』

毎日続けられなくても、過去の自分より成長できたならそれでいい。

小さく息を吐き、ベンチから立ち上がり西の空に希望をのせ、温かい夕日を眺めながら家路に足を運んだ。

その背中には、夕日の光が僕をそっと優しく包んでくれた。

タイトルとURLをコピーしました