第61話:うまくやることより、自分でいられることが大事だと思った

大人の 絵本

「うまくやってるね」「要領がいい」そんなふうに言われることがある。人間関係を気にするあまり、壊さないよう場の空気を読み察しては笑い、やり過ごしていた。でもふとした時、心の奥で自分がどこか遠くにいるような感覚があった

職場の飲み会で、誰かの意見にうなずきながら笑っている。でも、心の中では「それ、ちょっと違うんじゃないか」と思ったりも。その違和感に対し時折意見もするが、大体は口に出せず、ただグラスを持ち上げお酒を胃に流し込む。家に帰っても、そのモヤモヤが消えないことが何度もあった日も少なくない。

 うまくやる って、なんだろう? 誰かに嫌われないように、角が立たないように、それって、大人として正しいことなのかもしれない⁉︎ でもそれって、自分を殺すことと紙一重じゃないか?と思った。

次の飲み会で、同じような場面があった。またあの空気が漂ったとき、今日はいつもより自分の意見を一つでも多く言おう。そう思い勇気を出して言ってみた。

“それ、僕はちょっと違う意見と思っています” 空気が一瞬少し変わり止まった!けれど、僕の中では静かな達成感と、心の感情の波がゆっくり引いていくように感じた。

うまくやれなくてもいい。

誰かに「変わってるね」と言われても、自分のままでいたい。そう思ったら、ずっと背負っていたものが、少しだけ軽くなった気がした。帰り道、静かな街角で立ち止まると、やさしい街灯の光が、そっと僕を包んでくれているように感じた。

そのぬくもりの中で息を大きく吸い、深く吐いた。ふと思う,,,, この瞬間こそが!自分でいられるってことなのかもしれないと。

現代社会は息苦しい、息を吸いやすい場所は限られている。そんな社会でも数少ない心のオアシスみたいな場所が確かにあるのも事実。

僕はこれからも、“自分でいられる”この気持ちを大事にしたいと心に刻み、温かい街灯をあとにした。

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