第56話:“もう無理かも”と思った空に、ふと見上げた空

大人の 絵本

起きた瞬間から体が重い。ちゃんと寝たはずなのに、なんだか気持ちだけが起きてない感じがした。いつものように歯を磨き、顔を洗っても、心が追いついてこない朝だった,,,

「なんでこんなにしんどいんだろう?」理由がわからないのが、余計にしんどくて辛い。

「元気にしてる?」と聞かれるたびに、から返事で笑ってごまかす。本音は、毎日がいっぱいいっぱいで、心はすり減る一方、当たり前かのようについ強がってしまうのは、誰かに気づかれると、相手が少し気を使い迷惑に感じると思うから。

平気なふりが癖になり、自分でも気持ちの置き場所がわからなくなっていた。

駅に向かう途中、ふと立ち止まって空を見上げた先にあったのは、澄んだ青と、静かに流れる雲。

その時、遠くから誰かに話かけられた気がした!「そのままで大丈夫」と言うと、空にそっと背中を押された気がした。

心地いい風が僕を包むと、心の奥に溜まっていた何かがゆるんだ。

日々、元気なふりはしなくていい。時にマイペースで自分の気持ちに素直にしたがったり、立ち止まることも大事だ。生きていりゃ周りが気になることは多々ある。

そんな時はこう思うようにした。
「 比べたって、焦るだけ 」 笑 

ちゃんと前に進んでいる。たとえゆっくりでも、昨日よりほんの少しでも心が軽くなったのなら、それは立派な一歩。

何もかも、上手くやらなくていい。

全部を抱え込まず、立ち止まっても、空を見上げたあの瞬間、僕はたしかに

「自分をあきらめないでいた」

それだけで、十分なんだと思えた朝。今日を生きること、それがもうひとつの“ がんばり方 ”。だから僕は、ゆっくり歩きはじめた。

前だけを、みつめて

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