第43話:「”気にしすぎ”って言われるたび、苦しくなる」

中途半端 絵本

「そんなに気にしなくていいのに」その言葉をかけてくれる人は、きっと優しさから言ってくれている。でも僕は、そのたびに少し胸が痛くなる。気にしてしまう自分を、否定されたような気がして。「気にするな」って、そんなに簡単にできるならこんなに悩んでない,,, そんな風に思ってしまう自分も、また嫌になっていた。

人の言葉に敏感で、表情にも反応してしまう。誰かの何気ない一言が、頭の中で何度も再生される。「こう思われたかもしれない」「今の言い方、よくなかったかな」何度も自分の言動を振り返っては、モヤモヤが消えずに残る。「なんでこんなに気にしてしまうんだろう」自分でもわからなくて、そんな自分に疲れてしまう。

そんなある日、何気なくパソコンを見ていると、ふと目に入ったネット広告の言葉が、画面越しに僕の胸を刺した。

やさしさは気づける心から生まれる」その一文に、思わず指が止まる。“気にしすぎ”と呼ばれるこの性格も、もしかしたら“誰かに気づける心”なのかもしれない。少しだけ、自分を責める気持ちが和らぐ。

思い返せば、たくさんあった。言葉を飲み込んだ日。場の空気を読んで、自分の意見を引っ込めた日。誰かの機嫌に合わせて笑っていた日。その全部が、無駄だったわけじゃない。それだけ誰かの気持ちを大切にしてきた証なんだと思えた。自分が嫌だったあの瞬間すらも、誰かのためだったのかもしれない。


「気にしすぎる僕」にも、意味があったんだ。完璧じゃないし、強くもない。でも、優しくあろうとする心はきっと僕の中にちゃんとある。そう思えたとき、はじめて、自分の心を認めることができた。ゆっくりでいい。僕は僕のままで、生きて歩めばいい。

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