仕事帰り、ふと足が向いたのは、家の近くの小さな公園。人影のないベンチに腰をかけ、夜空を見上げる。満天の星ではないけれど、ところどころにキラキラした光が、今日の疲れを少しだけ和らげてくれた。
静かに目を閉じると、心の中に小さなざわめきが顔を出す。「このままでいいのかな」
そんな不安や迷いが、かすかに聞こえる。いつもなら、考えないようにして、スマホを取り出し気を紛らわせる。でも今日は、ただ、そのざわめきと向き合うことにした。
「何がしたいんだろう」「どこへ行きたいんだろう」問いかけても、はっきりした答えなんて返ってこない。それでも、ぼんやりとあたたかいものが胸の奥に灯っていた。
「真実は、ちゃんと歩み、生きている」そんな声が、どこかで確かに聞こえた気がした。
誰にも聞こえない、誰にも見えない。
でも、自分の中にあるその小さな声を、今夜は否定しないでいようと思った。
正しいかなんてわからない。
けれど、今の僕にとっては、それがいちばん大事なことのように思えた。
ベンチから立ち上がると、気づけば夜風を冷たく感じる時刻になっていた!それでも心は、不思議とあたたかい。
「心の声を、少しだけ信じてみよう」そうつぶやきながら、僕はゆっくりと帰り道を歩き出す。答えはまだないけれど、それでいいと思えた夜だった。