第39話:「”わかってる風”の自分が嫌になった」

中途半端 絵本

「わかるよ、その気持ち」
気づいたら、また言っていた。
同僚がポツリとこぼした悩みに、僕は何気なくそう返していた。
でも本当は、わかってなかった。ただ、分かってる“風”でいることで、その場をうまくやり過ごしていただけだった。

わかるって言えば、相手は少し安心した顔をする。でもそれは、僕の安心でもあった!
傷つけるのが怖かったし、深入りされるのも苦手だ。だから、浅くやさしい言葉を選んでいた。

まるで自分にも言い訳するみたいに
,,,

その日、帰り道にふと思い出したのは、同僚の表情だった。笑っていたけど、目はどこか遠く、ほんとは聞いてほしかっただけなんじゃないかと思った。

僕の「わかるよ」は、本当にその人の心に寄り添っていただろうか?

胸の奥が、じんわりと重苦しくなる。

『 誰かの気持ちを完全に理解することなんて本当はできない 』でもだからこそ、

「わからないけど、ちゃんと聞くよ」と言える強さを持ちたかった。

自分を守るための“わかってる風”じゃなくて、相手のために不器用でも向き合える自分でいたいと思った

次にまた、誰かが話しかけてくれたら、ちゃんと立ち止まって、「わからないけど、教えて」と胸を張って言いたい。全部を理解しなくても、聞こうとする姿勢が、誰かの救いになることもある。

“わかってる風”じゃなく、

 『わかりたいって気持ちで今日を終えたい』

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