大丈夫ですよ、僕やっときます
いつものように、笑って引き受けた。
でも心の中では、ほんとは手一杯なんだけどな … とつぶやいている。誰かに嫌われるのが少し怖くて、本音を飲み込むのは、もう慣れてしまったクセみたいなもんだ。
デスクに戻って、モニターを開いても、さっきの言葉が頭から離れない。
本当の優しさって、なんだろう?
誰かを思って言葉を選んだつもりが、
実は、自分の立場を守ってるだけだったのかもしれない。静かだけど、確かなざわめきが胸の奥に広がっていた。
少し前、別の同僚が同じように断っていたことを思い出す『 ごめん、それ今は難しい 』
その一言が、 責められるどころか、むしろ周囲に信頼されていた ‼︎ 言葉にすることは、距離をつくるんじゃなくて、理解をつなぐことだったのかもしれない。
僕はふと立ち上がり、自分の机の整理を始めた。ただの整理じゃない。ぐちゃぐちゃになっていた心の整理だ。少しずつでも、本音を押し殺すんじゃなくて、『 ちゃんと伝える 』ことを怖がらないでいようと思った。
『 さっきの件、やはり僕ひとりでは厳しいかもしれません 』その言葉を相手に伝えると、一瞬、沈黙したが、
「了解、他のメンバーにも少し振り分けてみるね」と笑って返された。
『 優しさって、言わないことじゃない 』ちゃんと伝えることも、立派な優しさだと気づけた日だった。