新年度最初の月曜日。いつもより早く出社した僕は、慣れない新しいチームと、ぎっしり詰まった会議予定に、朝から緊張しっぱなしだった。
ちゃんとやれるだろうか?そんな不安が、胸の奥にずっと居座っていた。
昼休み。隣のデスクの先輩が、僕の様子に気づいたのか声をかけてくれた。
大丈夫か、深呼吸してみ?
その言葉に思わず笑ってしまった。子どものころ、母によく言われていたセリフだったから,,,
でも先輩はまじめな顔で、一回やってみ?と 笑った。
窓際の椅子に座り、目を閉じる。
『 ゆっくり吸って、もっと ゆっくり吐く 』
不思議なほど、体の力が抜けていくのを感じた。頭の中のざわめきが、少しずつ遠ざかっていく。
こんなに深く、自分の呼吸に向き合ったのは初めてだ!
それからというもの、僕は深呼吸をひとつの習慣にした。会議前、ミスをしてしまったあと、家に帰ってから。そのたびに、焦りや不安をリセットしてくれる。呼吸ひとつで、こんなに世界の見え方が変わるなんて。
ある日、息子がなんでパパ、たまに目をつぶってるの?と聞いてきた。
「心を落ち着けてるんだよ」お前もやってみるか? うん ,,,, つられてママも参加。
たった一つの呼吸が、僕の世界を整え、家族の時間まで変えてくれた。
たかが呼吸 されど『 呼吸 は 僕の味方だ 』