第33話:心が整う深呼吸

中途半端 絵本


新年度最初の月曜日。いつもより早く出社した僕は、慣れない新しいチームと、ぎっしり詰まった会議予定に、朝から緊張しっぱなしだった。
ちゃんとやれるだろうか?そんな不安が、胸の奥にずっと居座っていた。

昼休み。隣のデスクの先輩が、僕の様子に気づいたのか声をかけてくれた。
大丈夫か、深呼吸してみ?
その言葉に思わず笑ってしまった。子どものころ、母によく言われていたセリフだったから,,,
でも先輩はまじめな顔で、一回やってみ?と 笑った。

窓際の椅子に座り、目を閉じる。
ゆっくり吸ってもっと ゆっくり吐く 』
不思議なほど、体の力が抜けていくのを感じた。頭の中のざわめきが、少しずつ遠ざかっていく。
こんなに深く、自分の呼吸に向き合ったのは初めてだ!

それからというもの、僕は深呼吸をひとつの習慣にした。会議前、ミスをしてしまったあと、家に帰ってから。そのたびに、焦りや不安をリセットしてくれる。呼吸ひとつでこんなに世界の見え方が変わるなんて

ある日、息子がなんでパパ、たまに目をつぶってるの?と聞いてきた。
心を落ち着けてるんだよ」お前もやってみるか? うん ,,,,  つられてママも参加。

たった一つの呼吸が、僕の世界を整え、家族の時間まで変えてくれた。

たかが呼吸  されど『 呼吸 は 僕の味方だ

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