ジムの鏡越しに映る自分の姿を見つめる。
隣では、分厚い筋肉を持つ男性が重そうなバーベルを軽々と持ち上げていた。
僕は軽く息を吐き、「 まだ まだ だな … 」と内心つぶやきながら、自分のバーベルを握り直す。
トレーナーが近づき、「今日はちょっと重すぎないか?」と声をかける!
「 いや、大丈夫です 」
そう言いながら、僕は無理にバーベルを持ち上げようとする。
腕にかかる負荷が予想以上に強く、全身が悲鳴をあげる。
「 危ない! 」
突然、バランスを崩しそうになった瞬間、隣にいたトレーニング仲間が素早くバーベルを支えてくれた。
「 無理しすぎるとケガするぞ。助けを求めるのも大事だ 」その言葉に、僕はハッとする。
今まで、強さとは何でも1人でできること だと思っていた。けれど、
「 誰かに頼ることもまた、強さなのかもしれない 」
ベンチに座り、さっきの言葉を思いだす。
「 1人で頑張ることだけが強さじゃない 」
「 自分の限界を知り、無理しすぎないことも大切だ 」
ふと周りを見渡すと、誰もが互いに支え合いながらトレーニングをしていることに気づく。
ジムを出ると夜風がほてった体に触れ、冷たくて気持ちがいい。
体は疲れているはずなのに、不思議と心は軽い。
「 次からは無理をせず、助けを求めよう 」
そう思うと、急にお腹が減りだし、僕は何を食べようかと温かい気持ちで家路に歩きだす。