第26話:選ばなかった道

中途半端 絵本

グラスの中で氷がゆっくりと溶けていく。
僕はカウンターに座り、キャラメル色の液体を見つめながら、静かにグラスを傾ける。
バーの落ち着いた照明が、ぼんやりとした思考をさらに深めていく。

「もし、あのとき別の選択をしていたら?」
目の前のウイスキーの揺らぎを見つめながら、僕は過去を思い出す。仕事、夢、人間関係 … いくつもの岐路(きろ)が頭をよぎる。選ばなかった道の向こうに、別の人生があったのだろうか?

ふと我に返る。
グラスの氷は小さくなり、少しずつ溶けた雫がカウンターに落ちている。
選ばなかった道は確かにある。
でも、それを悔やんでいるわけではない。
結局自分はこの道を選んだんだ
心の中で、静かにそう呟く。

バーテンダーが静かに新しいグラスを差し出す。「 お待たせしました 」僕は微笑みながら受け取り、一口飲む。 選ばなかった道を考えるよりも今の道をどう歩むかが大切なのかもしれない 

店を出ると、冷たい夜風が酔いを覚ます。
僕は大きく息を吐き、夜の街を見上げた。
「これから、どんな道を選ぶだろう?」
問いの答えを探すように、ゆっくりと歩きだす。

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