第10話:夢と現実の間で揺れる勇気

中途半端 絵本

 

夜が明け間もなくして、僕はカバンを持ち家を出る、目指すは面接会場。

これでいいんだよな…

面接会場の待合室には同じようにスーツ姿の人たちが並んでいた。

みんな、ちゃんと社会に順応しているんだな…

彼らの背筋の伸びた姿や、自然に会話を交わす様子が、余計に僕を小さく感じさせる。

「本当にこれでいいのか? 自分が目指していたのは、この場所だったのか?」

面接が初まり、僕は面接官の質問に無難な答えを返す。

「 長所は真面目で、協調性があります 」言葉は出てくるが、心は空っぽだ。

「本当にそう思ってるのか?」自分自身に問いかける声が、心の中で響く,,,

面接官が不意に問いかける。

「あなたにとって、本当にやりたいことは何ですか?」

一瞬、時間が止まったように感じた。

「 やりたいこと… 」

口を開くと、自然と本音が出てきた!

「 実は、音楽をやっています。人の心に触れる音楽を届けたいという夢があります。でも、現実を見なければいけない部分もあり、この面接を受けました 」

面接官は驚いたように目を見開いたが、次の瞬間、柔らかく微笑んだ。

「その夢、素敵ですね。現実を見つめることも大切ですが、夢を追う勇気を持つことはもっと大切です。」

面接を終えた僕は、こう思う。

自分に正直になっていいんだ

通りを行き交う人々の中で、僕は小さく笑った。

夢は追う勇気を持つことは大切 

僕の足取りが軽快なのは言うまでもない。帰る道中、僕は面接官を思い浮かべ ”夢を追う勇気を持つ大切さを教えて頂き、ありがとうございました”と思いもう一度、面接会場を見上げ一礼をしこの場をさった。

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